ふるさと納税を考える

ふるさと納税を考える

大人気の「ふるさと納税」

地方で生まれ、その地方のサービスを受けて育った人が、進学や就職で都会に住むようになり、都会で税金を納めています。自分を育ててくれた「ふるさと」にも納税できる制度があっても良いのではないかということで、「ふるさと納税」制度が始まりました。
「ふるさと納税」は、寄付した自治体からもらえる謝礼品が話題となり、大きな人気を呼んでいます。

図:平成27年度寄付受入金額・件数ランキング

出典:ふるさとチョイスHPより

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平成27年の受入金額の多い自治体をご紹介します。
1位:宮崎県都城市、2位:静岡県焼津市、3位:山形県天童市、4位:鹿児島県大崎町、5位岡山県備前市した。寄付される方のお目当ては、都城市は「宮崎牛」、焼津市は「海産物」、天童市は「さくらんぼ」です。

昨年から「ふるさと納税ワンストップ特例」を申請すると、納税先の自治体が5団体以内であれば確定申告を行わなくても寄付金控除を受けられるようになり、控除額の上限も約2倍になっています。納税者にとって手続きの簡素化とメリットが拡充したということです。

なお、寄付金控除上限額は年収や家族構成などによって異なりますが、これを把握しておけば、負担金2,000円で効率的な納税を行えます。このため平成27年度の寄付金額の合計は1652億9102円で前年度の4.3倍、寄付件数は726万件で前年度の3.8倍になりました。

まさに大人気の「ふるさと納税」というところです。

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図:ふるさと納税ワンストップ特例が適用される場合

出典:さとふる(ふるさと納税サイト)より

「ふるさと納税」の問題点

一方、「ふるさと納税」に対して問題点を指摘する声も聞かれます。
「ふるさと納税制度」利用者の増加とともに、本来都市部に入るべき税金が流出しています。

8月2日、総務省が「ふるさと納税」によって平成28年度の自治体別の住民税収がいくら減るかの調査結果を発表しました。それによると全自治体合わせて998億円と前年度の5.4倍の減収になるそうです。

都道府県別にみると、東京都が最も多く261億円、次いで神奈川県の103億円、大阪府の85億円の順でした。市町村別では、横浜市が最も多く31億円、次いで名古屋市の19億円、大阪市の16億の順となっています。
大都市では軒並み減収になる見込みですが、特に我が地元横浜市の31億円というのは、かなり大きな額だと思います。
本来入るべき多額の税金が、よその自治体へ行ってしまうわけですから、このまま増え続けると公共サービスにも大きな影響が出てくるのではないでしょうか。

最近の「ふるさと納税」は特典ばかりが話題になっています。大都市のみならず魅力的な特産品がないために、減収になってしまっている自治体もけっこうあるようです。これを解決するには特典の規制等が必要なのかもしれません。自分の生まれ育った「ふるさと」へ感謝の気持ちで寄付をするとういう本来の趣旨にもう一度立ち返るべきではないでしょうか。