アンブッシュ・マーケティング

アンブッシュ・マーケティング

東京オリンピックでは?

アンブッシュ・マーケティングという言葉をご存知でしょうか?広告業界の関係者以外はあまり馴染みのない言葉かと思います。
Ambushは英語で「待ち伏せ」という意味があり、マーケティングにおける「アンブッシュ」とは、ある大きなイベントなどで広告・広報活動を活発に展開するのを待ち伏せし、そのイベントと何らかの結びつきがあるかのような印象を与えるマーケティング手法のことです。

来年は東京オリンピックが開催されますが、組織委員会ではアンブッシュ・マーケティングはオリンピックのブランドイメージを著しく損なうものであると強く警告しています。
オリンピックは多くの公式スポンサーに支えられて開催されており、スポンサーには大会エンブレムの使用などの権利が与えられています。因みに五輪マークが使えるのはワールドワイドオリンピックパートナーの13社(日本企業はパナソニック、ブリジストン、トヨタ自動車の3社)のみです。スポンサーではない企業がかってに五輪マークやエンブレムを使用してしまうと、スポンサーメリットがなくなり、スポンサーになる企業が減ってしまう可能性があるわけです。

図:東京オリンピック オフィシャルパートナー契約金(推定)

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因みに昨年末に発表された組織員会の予算V3(バーション3)の収入は、6,000億円ですが、そのうちTOPスポンサーが560億円、国内スポンサーが3,200億円、合計で3,760億円となり、全体の約62%を占めています。今のオリンピックはスポンサーの大きな協力なしでは開催できないということです。

図:東京2020組織委員会予算 収入比率

出典:東京2020大会HPより

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オリンピックに関する標章については、国際オリンピック委員会(IOC)、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、東京2020組織委員会によって登録・保有されています。

図:オリンピックに関する標章と保有している団体

出典:商業界より

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ではどのような行為がアンブッシュ・マーケティング活動にあたるかというと
① オリンピックのスポンサーである旨の虚偽の表示

② オリンピック及び関連行事に使用される標章と同一・類似の標章を使用すること
例としては
・○○社はオリンピックを応援しています!
・オリンピック開催記念セール!
・オリンピックチケットプレゼント!

③ オリンピックと関連があるような表示
例としては
・2020スポーツの祭典
・目指せ金メダル
・ロンドン、リオそして東京へ

④ 第三者がオリンピックの会場近くで、当該会社の広告を表記した車両を走らせたり、飛行船を飛ばしたり、会場へ向かう観客にサンプリングしたりする行為

実際に東京オリンピックの文字商標「TOKYO2020」を無断使用したピンバッジを販売目的で所持していたとして中国籍の夫婦が逮捕されたというケースもあるそうです。
この他にも東京2020組織委員会では東京2020でアンブッシュ・マーケティングとして問題になる具体例を示しています。

図:東京2020でアンブッシュ・マーケティングとして問題となる例

出典:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 大会ブランド保護基準より

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東京オリンピックを連想するような文言であればどんなものでもアンブッシュ・マーケティングに該当する恐れがあり、使用差し止めの要請や損害賠償請求を受ける可能性があります。
ただ、規制が多過ぎて盛り上がりに欠けてしまうことだけは避けたいですね。