大切なのは健康寿命

大切なのは健康寿命

健康寿命

神奈川県では「未病を治すかながわ宣言」として様々な取り組みを始めていますが、今回は健康寿命について調べてみました。

健康寿命とは健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことです。
アメリカのワシントン大学などの研究チームが、世界188カ国の2013年の健康寿命を調べたところ男性も女性も日本が1位でした。
2位以下は表のとおりですが、男性の3位、女性の2位に入っているアンドラという国をご存知ですか?
ピレネー山脈にあるフランスとスペインに挟まれた面積468㎡、人口70,570人の小さな国です。(地図はコチラ)

Image link

図:健康寿命の上位5ヶ国
出典:読売新聞(2015年8月29日)

なぜこの国の健康寿命が長いのか調べてみると、その秘密は「きれいでおいしい水」「最高の医療制度」「地中海料理」「安定した社会情勢」にあるようです。

日本国内の都道府県別の健康寿命の統計(2010年)も発表されていますので、ご紹介します。
神奈川県は男性が12位、女性が13位、男女合わせると12位です。
男性の上位3県は1位が愛知県、2位が静岡県、3位が千葉県。
女性の上位3県は1位が静岡県、2位が群馬県、3位が愛知県。
また男女合わせると1位が静岡県、2位が愛知県、3位群馬県となっています。

図:都道府県別 日常生活に制限のない期間の平均

出典:厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」

(↑画像をクリックすると拡大します)

図:2013年 健康寿命 都道府県別ランキング

出典:厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」

(↑画像をクリックすると拡大します)

ではなぜ静岡県が1位なのか調べてみました。
静岡県には以下のような特徴があります。

①地場の食材の豊富さ、全国1位。
静岡県の農水産物の生産品目数は219品目もあり、栄養をバランスよく摂取できるそうです。
②飲酒習慣者の割合、全国46位。
因みにお酒大好きとされる高知県の健康寿命ランクは45位です。
③肥満者の割合、全国43位。
④1日に歩く平均歩数 男性10位。女性 5位。
⑤米の消費量、全国1位。
長年に渡り米を食べてきた日本人の消化器官は米を消化するのに適しており、油の多い食物は胃腸などに大きな負担をかけるそうです。
⑥お茶の消費料、全国平均の2倍。
静岡県らしいですね。お茶は動脈硬化や糖尿病の予防になり、緑茶に含まれるカテキンはガン細胞の増殖を抑えるとのことです。反対にお茶の消費量が少ないのは香川県、愛媛県、青森県、高知県で、いずれも健康寿命は下位です。

こんな理由から静岡県は健康寿命が長いと分析されています。
また、静岡県はみかんの産地ですからビタミンCの摂取量も多いでしょうし、気候が温暖で過ごしやすいため、家に閉じこもることが少なく活動的なことも大きな一因といわれています。

平均寿命と健康寿命の差

日本人の平均寿命は世界的にみてトップにランクされています。2013年の統計では、日本の男性は6位で80歳、女性は1位で87歳です。男女合わせると1位は日本で84歳、2位が7ヶ国あって、アンドラ・オーストラリア・イタリア・サンマリノ・シンガポール・スペイン・スイスで83歳です。長寿の国はヨーロッパに多いようです。

図:世界平均寿命ランキング

出典:WHO「World Health Statistics 2015」

(↑画像をクリックすると拡大します)

ところで平均寿命が長く健康寿命が短いと、健康でない状態が長いということになります。
若干数字が違うのですが、厚生労働省が日本人の平均寿命と健康寿命の差を発表しています。
平成22年では、男性の平均寿命は79.55歳、健康寿命は70.42歳、その差は9.13年。
女性の平均寿命は86.30歳、健康寿命は73.62歳、その差は12.68年。
つまり平均して男性は9.13年、女性は12.68年、日常生活に制限のある「不健康な期間」を送らなければならないということです。

図:平均寿命と健康寿命の差

出典:厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会・
次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会

(↑画像をクリックすると拡大します)

主な国の「不健康な期間」は、アメリカ:8.0年、フランス:7.7年、イギリス:7.6年、イタリア:7.0年、ドイツ:6.9年というように、おおよそ7~8年程度です。
日本は世界的にみて平均寿命も健康寿命も長いですが、「不健康な期間」も長いですね。
大切なのは健康寿命であり、平均寿命のデータは無意味だという意見もあります。
今後も平均寿命は延びていくことが予想されていますので、健康寿命との差が大きくなれば、「不健康な期間」も延びることになります。平均寿命の延び以上に健康寿命を延ばさなければなければなりません。

図:主な国の不健康な期間

(↑画像をクリックすると拡大します)

超高齢社会を幸せに生きるには「未病を治す」ことが大切です。
「適度な運動」や「適切な食生活」など、日々のちょっとした努力が生活習慣病を予防し、健康寿命を延ばすことにつながります。 老後は少しでも長く健康でいたいものですね。