奇跡の村「長野県下條村」②

奇跡の村「長野県下條村」②

少子化対策

日本は人口減少時代に入りました。高齢化が進み、少子化対策の必要性が叫ばれて久しいです。国は様々な施策を行っていますが、なかなか効果がでていないのが実情のようです。 そんな中、下條村では多くのムダを省いたことによって捻出されたお金を使い、少子化対策を行っています。 ここでその取組みをご紹介したいと思います。

①若者定住促進住宅
1997年から若者向けに村営住宅を建設。ただし子持ち、結婚予定、消防団への加入、村の行事への参加が条件。
②子供の医療費を無料化
0歳から高校卒業までの子供の医療費は無料
③保育料の引き下げ
保育園の料金を20%値下げ。これは国の基準の半分以下の料金。
同時期に2人以上入所した場合、保育料が第2子で半額、3歳以上の3子以降は無料。

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図:若者定住促進住宅 出典:下條村HPより

若者向けの村営住宅は、国の補助金を使わずに、村の単独事業として行いました。
家賃は2LDKで月3万3千円。隣の飯田市までは車で20分。十分に通勤圏で、飯田市の同規模のマンションと比べて半額程度だそうです。このリーズナブルな価格により、多くの若い夫婦が移り住んできました。2013年には178戸に達しています。
条件の中にある消防団への加入や村の行事への参加も村の定住促進に大いに役立つことだと思います。

子供の医療費の無料化や保育料の引き下げも小さ子供を持つ若い夫婦にとっては大きな魅力です。さらに出産や入学の都度、祝金も出るそうです。 下條村は、子育て世代にやさしい環境を作り上げました。因みに保育園は増える園児に対して2回増築しています。 このような政策が功を奏し、2014年の全国の合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数)が1.42人だったのに対し、下條村は2.03人と平均を大きく上回っています。

また、日本の人口が減少していく中で、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口」によれば下條村の2010年の人口4,200人を100とした場合、2040年の人口は3,855人で指数は91.8と予想しています。全国で2040年に指数が90を超えている自治体は3大都市圏と県庁所在地を除けば、ごく僅かです。長野県全体では77.5、県庁所在地の長野市でさえも79.1でした。70を切っている自治体も77市町村中36ありました。こういった点からも、下條村の少子化対策が成功していることがわかります。

図:長野県内主な市町村の人口推移

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」より

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国に頼らなかったことが少子化対策の成功にも結び付いたわけです。よかれと思って作った補助金が地方自治体の健全性をそこなっている。
人に任せきりの感じがしますが、我が家の家計だと思ってやれば何とかなるのだと思います。
ここで下條村の伊藤村長の言葉を紹介します。
「全国の自治体が強固になれば、日本は強固になります。その自治体の体質を強くできるのは、住民であり、住民の責任でもあります。住民が自治に是々非々の姿勢で積極的に関わり、住民の力で自治体の力を引き出していかないといけないと思います」

日本全体が強くなるためには、こういった国の補助金にたよらない強い自治体がどんどん増えていくことが必要だと思いました。