日本の大学は?

日本の大学は?

世界大学ランキング

前回、「日本が一番賢い国?」というタイトルで書かせていただきましたが、では大学は世界的に見てどうなんでしょう?
昨年、イギリスの高等教育専門誌「THE(Times Higher Education)」が「THE世界大学ランキング」を発表しました。
重視される項目は、論文数・論文引用数、受賞卒業生・教員数、国際化、規模、学生一人あたりの教員比率、などです。
トップ10にはアメリカが7校、イギリスが3校入り、両国で独占しています。日本は東大が42位、京大が65位でした。

図:THE世界大学ランキングTOP100【2019】

出典:THE世界大学ランキング2018-2019より作成

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トップ1000には日本から103校がランク入りし、イギリスの98校を抜き、アメリカの172校に続いて世界2位となっています。
全体的には良い結果なのでしょうが、ただ200位以内を見てみると、日本は東大・京大の2校だけです。同じ東アジアの国々では、中国:7校、韓国:5校、香港:5校、シンガポール:2校、台湾:1校が200位以内に入っています。日本は決して多くはなく、むしろ少ないと言えるのではないでしょうか。

図:TOP200内の国/地域別校数とトップ大学

出典:Between「研究力を可視化する世界大学ランキング」より

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また、調査項目の中に産業界から見たその大学の研究価値が反映される「産業界からの収入」というのがあり、シンガポールが1位、以下オランダ、インドネシア、ベルギー、ドイツの順となっています。日本は30位で7位の韓国、8位の中国、12位の香港など同じ東アジアの国の中でも低い水準です。企業との連携スケールが小さいことが課題となっています。
さらに「研究の平均値」が35位、「被引用論文の平均値」が50位、そして「国際性の平均値」が64位というかなり低い水準です。「国際性」は外国人学生・教員の誘引力、他国との研究協力体制が問われる項目で、留学を検討中の学生が注目する指標だそうです。

図:国際性の平均値

出典:Between「研究力を可視化する世界大学ランキング」より

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THE編集長のフィル・ベイティ氏は『競争が激化する中で、日本の大学の大半は依然として衰退、あるいは静止状態を維持している。人口減、高齢化、留学生獲得の地域的・国際的競争激化などの課題が今後、日本の大学の存続を脅かす可能性がある。日本の大学が真の意味で競争力を強化するには、はるかに大きな投資と国際化の努力が必要』と懸念を示しています。
大学のランキングには意味がないと疑問視する声も多々ありますが、日本の大学がグローバル化に乗り遅れているのは事実のようです。
先日の大学入試改革でバタバタしましたが、教育改革はまったなしでのグローバル化を目指した改革・対策を進めて欲しいと思います。