訪日外国人の宿泊状況は?

訪日外国人の宿泊状況は?

神奈川県は9位

昨年の訪日外国人は1,973万7千人と過去最高を記録しましたが、それに伴ってホテルの宿泊状況はどうなっているのか調べてみました。
訪日外国人の都道府県別延べ宿泊数をみますと神奈川県は2,172,550人で9位でした。
伸び率が1番高かったのは静岡県で対前年比123.8%の増です。静岡空港に中国系航空会社の路線開設が相次いだことや、成田空港から入国して京都などに向かう観光ルートの真ん中に位置していること、富士山があり温泉地も多いというのが理由のようです。

図:都道府県別延べ宿泊者数

出典:観光庁 宿泊旅行統計調査

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神奈川県の延べ宿泊数は日本人を含めると、全体では前年比マイナスでしたが、外国人に限っては対前年比51.7%プラスと大幅に増えています。外国人には箱根山の影響はあまりなかったようです。
都道府県別外国人延べ宿泊者数ベスト3の東京都・大阪府・北海道の合計は32,599,030人で全体の49.1%ですからほぼ半数を占めることになります。
さらにベスト10の合計は53,363,370人で80.3%にもなります。残りの約2割を他の37県で分けている状況です。ということは、これらの県を伸ばせば訪日外国人は増えるということなので、伸びしろはまだまだあるということです。

さらに細かく調べてみました。どの国の人がどの都道府県に多く宿泊しているのでしょうか。
韓国が大阪府への宿泊がトップで、他の国は全て東京都への宿泊がトップでした。
アジアの国々は東京・大阪のほか、北海道に宿泊するケースが多く、欧米の国々は東京に次いで京都が多いという結果でした。
神奈川県が5位以内に入っているのは、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、インド、ベトナムですから、欧米の国々が多いようです。

図:国籍別、都道府県別外国人延べ宿泊者数構成比(上位5都道府県)

出典:観光庁 宿泊旅行統計調査

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横浜の場合を見ますと、平成25年まではアメリカが1位でしたが、一昨年に中国が1位となり、昨年は中国が対前年比232%でダントツ1位でした。構成比が32.2%ですから、横浜に宿泊する訪日外国人の3人に1人は中国の方ということになります。またタイも対前年比256%、インドネシア188%、香港150%などアジアからの宿泊客の伸びが目立っています。

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図:横浜市内の地域別外国人延べ宿泊者数年別推移

出典:観光庁 宿泊旅行統計調査

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アジアからの観光客が増えている

日本全体で、どこの国からの宿泊者が多いかを調べてみますと中国、台湾、韓国、香港、アメリカの順でした。この上位5ヶ国で全体の約70%を占めています。
また地域別ではアジア:73.8%、北米:7.2%、欧州:5.5%、オーストラリア:2.4%となっています。圧倒的にアジアからの宿泊客が多いですね。
伸び率が高かった国は中国:111.1%、フィリピン:59.3%、韓国:56.6%、香港:54.4%でした。中国は倍以上になったわけですから凄い伸びです。

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図:国籍別外国人延べ宿泊者数

出典:観光庁 宿泊旅行統計調査

横浜は東京のおまけ?

若干統計が古いのですが、神奈川県外国人観光客実態調査(平成24年度)によると、県内を訪れた外国人の宿泊先は、東京が86.1%、箱根・湯河原が29.2%、横浜が10.7%で、訪問地は、東京、鎌倉、箱根の順でした。(複数回答)
圧倒的に東京が多いですので、横浜は東京のおまけのような感じです。
県内での宿泊は1泊の割合が多く、宿泊先は旅館が55.4%、ホテルが28.7%となっています。神奈川県で宿泊する場合は、箱根・湯河原の温泉宿が好まれているようです。
県内の認知度は、横浜が67.6%、箱根・湯河原が44.9%、鎌倉が32.1%、神奈川県が31.7%ですので認知度はあまり高いとは言えません。
悲しいことに、次回訪問したい県内の観光地は、残念ながら全て1割未満となっていました。

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図:国籍別・地名認知度

出典:神奈川県外国人観光客実態調査

図:次回行きたい訪問地

出典:神奈川県外国人観光客実態調査

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外国人目線の観光資源の発掘を!

県内には魅力的な観光資源がたくさんあります。認知度をもっともっとアップさせて、宿泊を伴う観光に結びつけていかなければならないと思います。
また、横浜の宿泊率をもっと上げるには広域観光の拠点となって、横浜から鎌倉へ、富士山へ、箱根へ、江ノ島へ、横須賀・三浦へ、こういった構図を作らなければならないと思います。
そのために「旅行者への情報経路の多様化」「旅行者によるSNSなどの口コミを増加させる」「横浜などの特定スポットが訪問の目的になる」等の施策が必要であり、横浜への旅行を目的化させたいものです。つまり外国人目線で観光資源の発掘をしなければならないということではないでしょうか。これは行政だけではなく、官民一体となって取り組む課題だと思います。