インバウンドについて(Part.1)

インバウンドについて(Part.1)

日本の観光競争力は?

最近観光地に行くと、多くの外国人を見かけるようになりました。
政府の方針では、東京オリンピックが開催される2020年をめどに訪日外国人を現状の約2倍の2千万人にするとしています。
それでは、日本の観光競争力は世界的にみてどの位置にあるのでしょうか。
スイスの「世界経済フォーラム」が5月に2015年の「観光競争力ランキング」を発表しました。それによりますと、日本は前回の14位から順位を上げて9位。アジアではトップだそうです。
ベスト10は、1位:スペイン、2位:フランス、3位:ドイツ、4位:アメリカ、5位:イギリス、6位:スイス、7位:オーストラリア、8位:イタリア、10位:カナダ。やはり欧米諸国が強いですね。
ただ、連続して1位を続けていたスイスが6位に後退したことや、常にベスト5にいたオーストリアが今回はベスト10にも入らなかったのは、何か大きな理由があるのでしょうか?ちょっと気になります。

図:旅行・観光競争力ランキング 出典:世界経済フォーラム

アジアでは日本に続いて、11位:シンガポール、13位:香港、17位:中国、24位:アラブ首長国連邦、25位:マレーシア、29位:韓国となっています。ベスト30に7か国入りました。アジアの国々も観光に力を入れてきたということですね。
日本が9位になった主な要因として「客の接遇」「飲料水の安全性」「テロ発生率の低さ」「鉄道のインフラ」等の項目がトップだったことがあげられます。また円安の恩恵もあってホテル料金が71位から36位へと大幅に改善したこともランクを押し上げました。反対に空港関係の費用は82位、観光ビザの自由化は111位ということですから、これらが改善されればもっと上位になるのだろうと思います。
「客の接遇」というのは所謂「おもてなし」です。滝川クリステルさんがオリンピック招致の際のプレゼンテーションで、この言葉を使い大きな話題になりました。これが東京開催決定に大きく貢献したとも言われています。
日本全体が常にこの「おもてなし精神」を持っていたいものですね。

訪日外国人数は?

観光競争力ランキングは9位でしたが、それでは実際に日本を訪れる外国人の数は世界的に見てどうなのでしょうか。
世界観光機関(UNWTO)によりますと、2014年の日本は1,341万人で世界では22位ということです。
1位はフランスで8,370万人。日本の約6.2倍です。凄いですね。以下2位:アメリカ、3位:スペイン、4位:中国、5位:イタリア、6位:トルコ、7位ドイツ、8位:イギリス、9位:ロシア、10位:メキシコと続きます。
欧米諸国が上位を占めている中で、中国、トルコがベスト10に入っているところは、観光競争力ランキングとかなり違う数字です。日本は香港、マカオといった小さな国や地域、観光資源がそれほど多いとは思えない韓国よりも低く、アジアでは9位です。仮に2020年に目標の2,000万人に達したとしても、世界では16位ということです。
観光競争力ランキングが9位なのですから、本当はもっともっと増えてもいいはずなんですが・・・

図:世界各国・地域への外国人訪問者数(2014年上位30位)

出典:世界観光機関(UNWTO)

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では訪日外客の内訳はどうなっているのでしょうか。2014年の統計では、1位が台湾で283万人、2位は韓国で276万人、3位は中国で241万人、4位が香港で93万人、5位がアメリカで89万人でした。
台湾の人口は2,337万人(2013年12月現在)ですから、1年間に全人口の12%以上の方が日本を訪れたことになります。これは凄い数字です。
また、韓国にしても中国にしても日本との政治的関係はぎくしゃくしている面もありますが、これだけ多くの方が訪日しているのですね。特に中国の方は「実際に日本に来てみて、日本は素晴らしい国だった」という感想を持たれることが多いようです。聞くと見るとは大違いというところでしょうか。
地域別にみるとアジア:1,082万人、北アメリカ:111万人、ヨーロッパ:105万人、オセアニア35万人、南アメリカ:9万人、アフリカ:3万人となっています。2014年の訪日外客数は全体で1,341万人ですから、アジア地域で81%を占めていることになります。しかも昨年のアジアからの訪日外客は33.3%増と大きな伸びでした。
今年に入ってからもこの傾向はさらに強くなり、6月現在で中国が116.3%増、香港が64.2%増、ベトナムが58.3%増、フィリピンが50.8%増とアジア諸国が大きく伸びています。特に6月単月でみると中国は167.2%増の462,300人。凄い伸びですね。日本政府観光局の分析では、「韓国でMERS の感染拡大が取りざたされた6 月中旬以降は、訪問先を韓国から近隣国へ変更する動きがあり、訪日についてもFIT(個人旅行者)を中心に需要が上乗せされたほか、クルーズでも韓国から日本に寄港地を変更したケースが見られた。鄭州-関西便(週3便)、鄭州-静岡便(週2 便)、合肥-名古屋便(週3 便)など地方都市からの新規就航も相次いでおり、旺盛な訪日意欲が日本各地に需要を広げている。」としています。
「爆買」がまだまだ続くのでしょうか。

図:2014年訪日外客数(総数)(PDF)

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図:2015年6月訪日外客数(JNTO推計値)

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GDPに占める国際観光収入の割合は?

それでは、各国のGDPに占める国際観光収入の割合はどうなっているでしょうか。
ちょっと統計が古いのですが、2011年に大和総研が作成した資料によりますと、対GDP比では、香港の11.2%が断トツで高いですね。以下2位がタイで7.6%、3位がシンガポールで6.9%、4位がマレーシアで6.6%、5位がオーストリアで4.7%です。ベスト5を見ますと東南アジアが多いですね。世界の平均が1.5%ですから、これらの国は観光への依存度が大きいといえます。
アメリカの国際観光収入は、第1位で世界全体の11.2%を占めています。凄いですね。ただGDPも世界全体の21.7%を占めていますので、対GDP比は0.8%と世界の平均を下回っています。それでも観光大国であることは間違いないですね。
では、日本はどうかといえば2012年の統計で国際観光収入は約146億ドルで世界20位。(※2011年は東日本大震災の影響で極端に減ったため比較できない)G7の中では最下位です。 また対GDP(約5兆9554億ドル)比は約0.25%ですから世界的にみてもかなり低い数字です。まだまだ観光収入を伸ばす余地は十二分にあると思います。
超高齢社会の日本ですから、今後GDPを伸ばすためには観光に力を入れていくことも大きな施策の一つになります。
訪日外国人がどんどん増えるように、日本の魅力をPRしていかなければなりませんね。

図:国際観光収入の上位国と対GDP対比

出典:大和総研アセアンへの外国人観光客事情

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図:国際観光収入の上位30ヶ国(2012年)

出典:World Tourism Organization

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次回は「訪日外国人を増やす施策」や「海外向けPR」についてお話したいと思います。