■訪日外国人を増やす施策は?
前月から引き続きインバンウンドについて書きます。
観光庁の「外国人旅行者の受入環境に対する不便・不満」というレポートによると、外国人旅行者が旅行中困ったことの1位は「無料公衆無線LAN環境」、次が「コミュニケーション」「目的地までの公共交通の経路情報の入手」「公共交通の利用方法」と続きます。観光立国を目指すのであれば、こういったことの改善を図らなければなりません。
そういえば以前の日本の道路標識は、日本語の下にローマ字が表記されていました。ローマ字では外国の方はわからないということですが、何のためにわざわざローマ字表記をしたのでしょうか?今思えば不思議ですね。
図:外国人観光案内所を訪問した 外国人旅行者アンケート調査結果
出典:観光庁
(↑画像をクリックすると拡大します)
図:外国人旅行者の日本の受入環境に対する 不便・不満
出典:観光庁
(↑画像をクリックすると拡大します)
また観光庁では、外国人旅行者の滞在先が東京・名古屋・京都・大阪をつなぐ「ゴールデンルート」に集中していることから、地方にも拡大するために「複数の都道府県をまたがって、テーマ性・ストーリー性を持った一連の魅力ある観光地をネットワーク化し、外国人旅行者の滞在日数(平均6日~7日)に見合った、訪日を強く動機づける【広域観光周遊ルート】の形成を促進し、海外へ積極的に発信する。」として、全国から周遊ルートを公募しました。
その結果、認定されたのは、
①【アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし北・海・道】申請者:
「プライムロードひがし北・海・道」推進協議会
②【日本の奥の院・東北探訪ルート】申請者:東北観光推進機構
③【昇籠道】申請者:中部(東海・北陸・信州)広域観光推進協議会
④【美の伝説】申請者:関西広域連合、関西経済連合会、関西地域振興財団
⑤【せとうち・海の道】申請者:瀬戸内ブランド推進連合
⑥【スピリチュアルな島~四国遍路~】申請者:四国ツーリズム創造機構
⑦【温泉アイランド九州 広域観光周遊ルート】申請者:九州観光推進機構
以上の7件です。
たとえば、④の【美の伝説】は表にあるように、「関西地区をエリアとし、五つの世界遺産をはじめとする豊富な歴史遺産や絶景、食などを活用し、東南アジアや欧米のリピーターなどに誘客を図る。京都・大坂から南近畿、北近畿への呼び込みを目指す。」としています。
他のルートも、それぞれ特徴があってなかなか面白そうですね。また認定された地域に対しては、PRや受け入れ態勢整備の費用を半額まで国が補助するそうです。こうした施策により外国人旅行者が地方にもたくさん訪れ、日本全体が元気になればと思います。
最終的にどのルートが最も人気だったのか、知りたいですね。
図:広域観光周遊ルート形成計画 (認定)位置図
(↑画像をクリックすると拡大します)
図:広域観光周遊ルート形成計画 認定一覧
(↑画像をクリックすると拡大します)
図:広域観光周遊ルートの形成促進 について
(↑画像をクリックすると拡大します)
■海外向けPRは?
『日本がここまで世界の笑いものになる例がほかにあるだろうか。人気グループ「嵐」が日本観光を呼び掛ける観光庁のキャンペーンだ。観光庁は日本を、歴史的な遺産も自然もなく、若者が君臨する国として世界に宣伝したいようだ。豊かな文化がある日本で、なぜ外国人観光客が少ないのか。以前から不思議だったが、なるほど観光庁のせいだったのだ。今回のキャンペーンは日本のイメージをおとしめるために北朝鮮のスパイがたくらんだのかと思うほど。だが日本を笑いものにしているのは日本人自身だ。』
ところで、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると訪日外国人旅行者の訪日動機は1位が「日本食を食べること」で76.2%、2位が「ショッピング」で56.2%、3位が「自然・景勝地観光」で46.8%、「日本の歴史・伝統文化体験」はもっと上位かなと思いましたが、22.8%で8位でした。
国・地域別では「ショッピング」が訪日動機であるというのが、タイ、香港、中国、台湾、シンガポール、ベトナムなどアジアの諸国が上位を占めています。
一方「日本の歴史・伝統文化体験」はフランス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ロシア、イギリスなど欧米諸国が上位となっています。地域特性があって面白いですね。
このようにアジアと欧米で訪日動機がハッキリ違うということは、PRの仕方やコースの設定、アプリの配信なども国や地域によって変えなければいけないということですね。
図:訪日の動機(2014年)
出典:国土交通省 観光白書より
(↑画像をクリックすると拡大します)
図:国・地域別の訪日動機(2014年)
出典:国土交通省 観光白書より
(↑画像をクリックすると拡大します)
(←画像をクリックすると拡大します)
図:訪日の動機(2014年)
出典:国土交通省 観光白書より
また、訪日外国人旅行者の目的別割合は、観光・レジャーが61.2%、業務が25.1%、その他が13.7%ということです。ところが国・地域別にみると、インド、ドイツ、インドネシア、ベトナム、イギリスからの訪日客の目的は業務の割合が観光・レジャーよりかなり多くなっています。こういったことからも観光PRの仕方によっては、まだまだ訪日外国人は増える可能性があるのではないでしょうか。
図:訪日外国人旅行者の目的別割合(2014年)
出典:国土交通省 観光白書
(↑画像をクリックすると拡大します)
図:国・地域別訪日外国人旅行者の目的別比率(2014年)
出典:国土交通省 観光白書
(↑画像をクリックすると拡大します)
最後に都道府県別の外国人の延べ宿泊者数を調べてみました。神奈川県は132万人で第9位。第1位の東京都は1,345万人ですから、東京の9.8%です。東京・大阪・北海道・京都・沖縄よりも低いのはわかる気もしますが、なぜ千葉県の半分以下なのでしょうか?東京ディニーリゾートや成田空港があるためでしょうか?このあたりの詳細な分析が必要ですね。神奈川県や横浜市にももっともっと外国人観光客を呼び込む施策をとって欲しいと思います。
(→画像をクリックすると拡大します)
図:都道府県別外国人延べ宿泊者数
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」
図:都道府県別外国人延べ宿泊者数
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」
(↑画像をクリックすると拡大します)