■クルーズ船での訪日外国人100万人突破!
横浜港大さん橋の指定管理者が、横浜港振興協会・神奈川新聞社・ハリマビステム共同事業体に変更になりましたが、大さん橋に最も係わりのあるクルーズ船について調べてみました。
昨年、クルーズ船で日本に入国した外国人は100万人を突破し、111.6万人でした。2013年が17.4万人、2014年が41.6万人ですから、まさに倍々ゲームです。国土交通省では2020年までに100万人を突破することを目標としていましたが、大幅に早い達成となりました。
昨年から中国の観光客がクルーズ船で大挙して来日しているのが大きな理由です。大型クルーズ船の寄港地おける経済効果は1人当たり3~4万円と試算されています。船ですと飛行機と違って持ち込み手荷物の制限がないため、たくさん買物ができるという利点があります。より「爆買い」ができるわけです。
国土交通省港湾局によるレポートには「クルーズ船は宝船」とありました。
数千人が港町に上陸して観光地巡りや飲食、買い物へと繰り出すわけですから、寄港地にとってまさに「宝船」です。
図:外国クルーズ船の寄港による経済効果
~クルーズ船は宝船~
出典:国土交通省HPより
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図:外国クルーズ船寄港の経済波及効果
~クルーズは21世紀最高の観光商品~
出典:国土交通省HPより
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■横浜の現状は?
横浜は日本を代表する港町です。
クルーズ船の寄港回数も2014年までは横浜が12年連続1位でした。ところが昨年2015年は、博多が261回で横浜の127回を抜いて1位になりました。前年(115回)の倍以上ですから凄い伸びです。しかも今年は400回を見込んでいるそうです。長崎も131回で前年(75回)の倍近い伸びです。逆に横浜は前年(146回)より減っており、このままですと博多の3分の1程度になってしまいます。博多や長崎の伸びは中国のクルーズ人口が大幅に増えたことによるものですが、いずれにしても横浜は長年守ってきたトップの座を明け渡し、しかも長崎にも抜かれて3位になってしまいました。今年は那覇にも抜かれるかもしれません。
外国船社が運航するクルーズ船の寄港回数を見てみると、2015年は博多:245回、長崎:128回、那覇:105回、石垣:79回、鹿児島:51回、神戸:42回、横浜:37回の順となっています。横浜に寄港するクルーズ船のうち外国船社が運航する割合は3割程度ですので、他港と比べてかなり少ないですね。因みに博多や長崎は9割以上です。
図:外国船社及び日本船社が運航するクルーズ船の寄港回数
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図:外国船社が運航するクルーズ船の寄港回数
出典:国土交通省HPより
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横浜の寄港回数が伸びない理由の一つに、クルーズ船が大型化しベイブリッジの下を通れないという問題があります。横浜ベイブリッジは、1989年開港130周年の年に開通しました。ベイブリッジの海面からの高さは55m。当時の大型豪華クルーズ船「クイーン・エリザベス2」(高さ52m)や「ロッテルダム号」(高さ53m)が通れる高さとして設計されたそうです。しかし近年は、クルーズ船の大型化が進んでいます。ちょっと古いデータなのですが、2011年にはベイブリッジの下を通れないクルーズ船が20隻ほどあったそうです。現在はもっと多いと予想されます。 一昨年「クイーン・エリザベス」(高さ56.6m)が横浜港に入港する際には、海面が2mほど下がる干潮時を狙ってベイブリッジを通ったことがニュースになりました。 また同じ年「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」(高さ63m)の入港時は、ベイブリッジの下を通れず、大黒ふ頭の貨物用岸壁に着岸させました。殺風景な景色に乗船客から不満も出ていたようです。
写真:クイーン・エリザベス
出典:横浜市港湾局HP
写真:ボイジャー・オブ・ザ・シーズ
出典:横浜市港湾局HP
これからベイブリッジの通行を遮断して高さを上げることは非常に難しいでしょうから、ベイブリッジの外側に新たな大型客船ターミナルを建設しなければなりません。横浜港港湾計画では本牧ふ頭A突堤で超大型客船に対応するとありますが、10年近くかかるため、それまでは大黒ふ頭を客船向けに改修し対応するとのことです。乗船客に満足していただける施設になって欲しいですね。
写真:横浜港
出典:横浜港ポータルサイトより作成
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それにしてもベイブリッジの設計時にクルーズ船の大型化が読めなかったのは残念です。
大型クルーズ船の1回の寄港は億単位の経済効果があるとされています。大型クルーズ船はまさに「宝船」です。横浜港にもっともっと寄港してもらって、大きな経済効果をもたらしてくれることを期待していますが、意外と厳しいかもしれません。これからは大型船以外にも活路を見みい出す等、皆で知恵を絞って誘致活動をしていく必要があるのではないでしょうか。