新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全面解除されて2ヶ月ほどが経ちましたが、まだまだかつての日常は戻っておらず、第2波が来ないことを願うばかりです。
■日本は世界29位
世界銀行は毎年、ビジネスのしやすさを順位づける「世界ビジネス環境ランキング」発表しています。ビジネスを成功させるためには、ビジネス環境は大きな要素です。ビジネスのしやすい環境が企業の成長につながります。
昨年10月の時点での順位は、1位ニュージーランド、以下シンガポール、香港、デンマーク、韓国、アメリカとなっていました。日本は少なくとも10位以内には入っているだろうと思っていましたが、29位とかなり低い水準でした。
図:ビジネス環境ランキング
出典:世界銀行「Doing Business Report」より作成
このランキングは以下の10項目を「手続きにかかる回数や日数、コストや難解さ等」で数値化しています。項目を見るとなるほどと思います。
「事業設立の容易性」「建設許可取得」「電力事情」「不動産登記の容易性」「資金調達環境」「少数株主保護」「納税環境」「貿易環境」「契約執行状況」「破綻処理」
以上の項目で日本が20位以内だったのはのは「破綻処理」3位、「電力事情」14位、「建設許可取得」18位の3項目だけで、他の分野は「事業設立の容易性」が106位、「資金調達環境」が94位等かなり低い水準です。
図:ランキング項目
出典:世界銀行「Doing Business Report」より作成
日本は2013年の時点では24位(先進国中15位)でした。当時、政府が発表した「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」では2020年までに先進国中3位以内を目標としておりましたが、昨年時点で29位(先進国中18位)です。6年間で逆にランクが下がってしまいました。日本の改革が進まず、他の国の改革が進んだため日本が相対的に下がったということだと思います。
因みに日本は2008年:12位、2009年:13位、2010年:15位、2011年:18位、2012年:20位と年々下がり続けています。
2016年12月に発表された大和総研の「経済・社会構造分析レポート」では
『もし全ての行政手続きの数と時間が3分の1にまで減少すれば、先進国中8位まで上昇するだろう。加えて行政手続きの手数料が半減すれば、同4位まで上昇する。さらに負債に関する貸し手・借り手の法的権利を強化すれば、日本のランキングは先進国中3位も射程圏内に入る。(中略)ランキングで示唆される行政手続きの簡素化、少数投資家保護、契約の実効性を高める法整備などは、近年の研究において実証的にも企業活動を活発化させる重要な要因であることが分かってきている。企業が本業に集中しつつ、企業とステークホールダーの間で適度な緊張関係を保てる市場環境を整備することが、日本企業の生産性を引き上げる。働き方改革で高まる人件費に見合う生産性の実現のためにも、日本のビジネス環境の迅速な整備は急務だと考える。』としています。
この発表から既に3年以上の時が流れていますが、政治の問題なんでしょうね。
また、2000年の日本の一人当たりのGDPは2位でした。ところが2018年は26位と大幅に下落しています。金額を見てみますと、この期間で上位の国は殆どが倍になっていますが、日本は僅か2%しか伸びていません。
図:世界の一人当たりの名目GDPランキング
出典:「世界経済のネタ帳」より作成
これからの日本は少子高齢化が益々進み人口が減少するため、経済規模が縮小するのではという意見が数多く聞かれます。それに追い打ちをかけるように今回の新コロナウイルス感染拡大の影響で、更なる縮小が予想されます。こんな時代だからこそ競争に打ち勝つために、国はもっとスピーディーに制度改革を進め、ビジネスをしやすい環境づくりをしなければならないと思います。
国民の幸せを考えるなら、規制緩和をド真剣に考えて欲しいです。