■外国人宿泊客はどこに?
以前、日経新聞に「統計で消えた外国人宿泊客はここにいた!」(2017年3月4日)という記事が載っていました。
2015年と2016年を比較して、訪日外国人は22%増加しているのに対し、宿泊客は9%の増加にとどまっているというものです。
宿泊者数が前年割れになった月もあったようです。
図:訪日外国人数と外国人延べ宿泊者の比較
図:訪日外国人数と外国人延べ宿泊者の前年同月比率
出典:日本経済新聞「統計で消えた外国人宿泊客 ここにいた!」 (↑画像をクリックすると拡大します)
では、訪日したのに宿泊していない外国人はどこにいるのでしょうか。
日経新聞によると宿の代わりに夜行バスやキャンピングカーを利用する訪日客が増えているそうです。他にも空港で夜明かしたり、24時間サウナを利用するなど、ホテルに宿泊しないケースが年々増加しているとのことです。
また、外国人宿泊者数の統計には船に宿泊する外国人の数が含まれていないことも大きな要因のようです。クルーズ船による訪日外国人数が大きく増加し、2016年は、前年比78.5%増の約199.2万人、過去最高を記録しました。政府は2020年の目標を500万人としているのですが・・・。
図:クルーズ船による外国人入国者数
出典:国土交通省 報道発資料
もう一つ、民泊も統計に含まれていないそうです。
大阪観光局が2016年度に関西国際空港で実施した訪日客アンケート調査によると大阪府内で宿泊した施設のうち19%が民泊だったそうです。また民泊仲介最大手のエアビーアンドビーでも2016年には370万人の訪日客が利用したと報告されています。
観光庁は昨年7~9月期に初めて民泊調査を実施しました。それによりますと日本を訪れた外国人旅行者のうち「民泊」を利用した人の割合は12.4%だったことが分かりました。
クルーズ船や民泊の利用者数はこのように非常に多いので、これが宿泊者数統計に含まれていないと実態がつかめないですね。
統計を担当する観光庁は、2018年度以降は民泊利用者数も発表する方針のようです。
一方、横浜市の外国人延べ宿泊者数年別推移を見てみますと、2015年は前年比43%の伸びでしたが、2016年の前年比伸び率は0.1%と全く伸びていません。アメリカやイギリス・ドイツなどの欧米からの宿泊者数は増えていますが、約4分の1を占める中国からの宿泊客が2割近く減っています。
中国からの観光客自体が減ったのか、クルーズ船や民泊の利用者が増えたのか、こういった分析も必要だと思います。
図:横浜市内の地域別外国人延べ宿泊者数年別推移
出典:観光庁 宿泊旅行統計調査
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これから横浜では超大型ホテルや外資系のホテル等の開業が予定されています。外国人のみならず日本人も含めて宿泊者が大幅に増えなければ、ホテルの稼働率は下がってしまいます。
「東京に泊まって横浜で遊ぶ」から「横浜に泊まって横浜や近郊で遊ぶ」へ
どうすればこうなるのかを官民一体となって取り組んでいかなければならない大きな問題と受けとめています。