■リカレント教育
人生100年時代と言われるようになり、65歳で定年を迎えてから35年もの人生があります。
また一方で少子高齢化により労働人口は大きく減少していくことも確かです。
パーソル総合研究所と中央大学による「労働市場の未来推計2030」によれば2030年の労働需要予測が7073万人に対して、労働力人口は6429万人とされています。
644万人も不足するわけです。
「労働市場の未来推計2030」については以下をご覧ください。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/roudou2030/files/future_population_2030_4.pdf
また昨今では、IT等の技術革新の著しい進歩により、市場が大きく変化してきました。
こういった変化に対応していくためには、新たな知識とスキルを習得する必要があります。
ところで「リカレント教育」という言葉をご存知でしょうか?
学校教育を終えて、就職した後、必要に応じて教育機関に戻って再び学び、その後、また就職する、これを繰り返すということです。
日本の場合は長期雇用が一般的なことから、こういった本来の意味の「リカレント教育」が行われることは少なく、「働きながら学ぶ」「心の豊かさや生きがいのために学ぶ」「学校以外の場で学ぶ」もこれに含めています。
日本人がどれくらい自主的に学んでいるかというと、パーソル総合研究所の調査では、社会人の約半数の人が学んでいないことが明らかになっています。
さらに年代別では40代:50.9%、50代:53.2%と年代が上がるごとに「特に何も行っていない」と答えた人の割合が増えています。
なお、この自主的な学びには読書も含まれていますので、40代以上の世代では半数以上の方が読書をしていないということになります。
若者の活字離れということが言われていますが、40代以上でも活字離れが進んでいるようです。
日本では組織内での「経験」が非常に重要視されてきたため、自主的に学ぶ意欲や機会があまりなかったということでしょうか。
「リカレント教育」の企業側と従業員側のメリットとしてLightworksでは以下のことを上げていました。そして企業と従業員がともに成長していくために有効であるとしています。
「企業側のメリット」
①業務の効率化や生産性の向上
②優秀な従業員の育成
③時代の流れに対応できる
「従業員側の、メリット」
①学習効果が高い
②年収や就業確立の増加
③専門性の高い職業に就きやすい
パーソル総合研究所の鎌田陽子氏は以下のように述べています。
『リカレント教育を通して、何度も学びをアップデートし、1人1人が長く、そして意欲的に働けるよう、学びを重視する組織風土を醸成していくことは、日本企業の「イノベーション欠乏症」を治療し、日本が国際競争力を取り戻す処方箋ともなり得るのではないでしょうか。』
このようなメリットがあるとされる「リカレント教育」ですが、企業としてはコストの増加という課題があります。
日本ではその効果がまだはっきりわかっていないということで、前向きに取り入れる企業は少なく、2019年に人事・採用担当者に対して行われたアンケート調査では、リカレント教育を導入している企業は3%だったということです。
今後は労働力確保や生産性向上に向けて「リカレント教育」の必要性が高まり、取り入れる企業が増えてくるのだろうと思います。
尚、弊社では10%ルール等を導入していて、社員は自主的に広告に関する様々なことを学んでいます。