
春になると、不動産会社が「住みたい街」に関するランキングを発表します。今年もいくつかの調査結果が報道されましたが、驚いたのは、同じ“住みたい街”をテーマにしながらも、3月7日付の日本経済新聞に掲載されたリクルートの調査と3月9日付の日経MJに掲載されたライフルホームズの調査結果が、あまりにも違っていたことです。
少し調べてみました。
まず、リクルートが発表した【首都圏】住みたい街(駅)ランキングでは、以下の通りです。
(調査結果:https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2025/0306_15539.html)
1位 横浜駅
2位 大宮駅
3位 吉祥寺駅
4位 恵比寿駅
5位 東京駅
一方、ライフルホームズが発表した【首都圏版】みんなが探した!住みたい街ランキングは、次の通りです。(調査結果:https://lifull.com/news/40837/)
■「借りてみたい街」
1位 葛西駅
2位 本厚木駅
3位 大宮駅
■「買ってみたい街」
1位 勝どき駅
2位 八王子駅
3位 大宮駅
共通してランクインしているのは大宮駅だけで、それ以外はまったく異なる顔ぶれです。
特に印象的なのは、リクルートで堂々の1位だった横浜駅が、ライフルホームズのランキングには10位以内にも入っていないことです。
この差は、調査の手法によるものでした。リクルートは1万人を対象にしたインターネットアンケート。一方でライフルホームズは、実際の賃貸・購入物件に対する問い合わせ数を駅別に集計しています。つまり「意識」と「行動」の違いがそのまま表れているのです。
「住むなら横浜がいいな」と思っていても、いざ物件を探し始めると現実的な選択肢として葛西や本厚木に目が向く。そんな人の心理がデータに出ているのでしょう。
調査結果というのは、つい鵜呑みにしがちですが、「誰に」「どうやって」聞いたのかという背景を知らないと誤解してしまう恐れがあります。
ぜひ皆さんも、アンケートやランキングを見るときは、その元データや調査方法に注目して、冷静に受け止めてくださいね。