
またまた映画の話です。つい最近これまた話題になった映画「フロントライン」を観にいきました。そろそろ上映が終了すると思い、慌てて観に行きました(8/12現在まだ上映中)。
フロントラインのHPはこちら↓↓
https://wwws.warnerbros.co.jp/frontline
映画の舞台は横浜。それも日本でコロナ騒ぎが起きるきっかけとなったダイヤモンドプリンセス号が舞台となっています。そこに派遣されたDMAT(災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team) )がコロナの感染を抑え込んでいく実際の物語です。観るきっかけは当時横浜市港湾局にいた方にお目にかかったこと。映画には出ていない苦労話を聞かせてもらったことでした。
ストーリーは、ダイヤモンドプリンセス号で発生したコロナ患者に対して、厚労省はDMATを派遣。突然振って沸いた任務に船外から指揮を執る隊長 結城(小栗旬)を中心に、船内に乗り込んで奮闘する医師 仙道(窪塚洋介)と真田(池松壮亮)、厚労省職員 立松(松坂桃李)、それに献身的にお客様に対応するクルー羽鳥 森七菜。そして、状況を煽るTV局の報道記者 上野( 桜井ユキ)が嫌な絡みをしながら話は展開して行きます。
映画を観ていて、こんなことを考えさせられました。
1.SNSの情報に惑わされていけない。
緊急事態になればなるほど、フェイクニュースが出てきて、撹乱されることはコロナ禍で経験してきたことです。しかし、多くの人が嘘あるいは偏った発言を事実と思って反応してしまう。この映画でもそうでした。感染症の権威が、船内にアドバイスに行ったのですがアドバイスを受け入れられる状況ではなかったので、2時間で退出させられました。YouTubeで船内の偏った状況を批判的な考えで洩らしたものだから、国内マスコミは大騒ぎになってしまった。後に船内からの中立的な意見と状況報告が出て沈静化し、YouTube動画は削除された。
2.マスコミは視聴率のために動く?
この業界にいて言うのも何ですが、マスコミの習性なのかもしれません。視聴率、集客、認知率を上げることは、私たちの大命題だと思っているので、それらを上げるために勝手に思考も身体も動くのかもしれません。
この映画の中でも、マスコミが国民を煽って、騒動を大きくしていきます。主人公の結城はそんなマスコミの現場の記者上野に苦言を呈します。「報道が現場で働いている人の家族をいじめられるなど苦境に追い込んでいる。それが正しいことか」と。記者は記者で何が正しい報道なのか悩みます。上司との軋轢も生まれます。しかし最後は、自分の良心に従った報道をしたのでした。
日本のマスコミを観ていると、どの政党を推しているのか批判しているのかなど分からないことがほとんどです。形勢の悪い党を推すと視聴率が下がり、スポンサーに迷惑をかけると思うのか、このテレビ局は特定の政党寄りだよなと思っていても、勝ち組に乗ることが当たり前になっています。これから、多様化の社会がくるので、意見の違いを認める報道をして欲しいものです。
3.何を基準に物事を判断すればいいのか。
映画でこんな場面がありました。重病患者の命を助けるのか、船内の環境を保つのかの判断を迫られた場面です。船の排水タンクが満タンとなり、一度外洋に出て汚染水を捨てないと、船内の環境が保てない、食事さえも作れない状況が来るという場面です。外洋に1日出てしまうと、その間に重症患者は亡くなってしまうかもしれない、かといって船内環境をこれ以上悪くすることもできない。この時の判断は、人の命を最優先、そして船内環境をその次に置き、見事両方を達成したのでした。重症患者と濃厚接触者を隔離して、悪化していないことと発病していないことを確認して、外洋への出船時間をギリギリまで遅らせたのでした。何とかしようと思う熱い気持ちと覚悟をすごく感じた場面でした。
最初にお話をした横浜市港湾局の方からは、重症患者を優先させるために、船内の排水を横浜港には捨てることもできない。それをしたら、横浜がどんな騒動になるか分からない。かといって、1日外洋に出ることで、船内の患者さんを見捨てることもできない。いつもそんなギリギリの状況の連続だったそうです。
4.映画の中の悪者は実は悪者でないことがある。
実は映画の中で横浜市は悪者でした。横浜市衛生局がダイヤモンドプリンセス号の感染を抑えることに非協力的だった、と言うことになっていました。あとでその裏を聞いてみると、医療行政は国→県→市というヒエラルキーがあるそうで横浜市が直接協力しますと言えないというのが事実でした。
横浜市は、先に話をした船内の排水の件以外にも、ゴミ問題、患者の救急搬送、乗船者用のバスの提供などで協力していました。労働組合の人たちが、将来のある若い部下にはさせられないと管理職自らその任に当たってくれたそうです。ありがたいことです。
映画1つでもいろいろなことがあり、新たな発見ばかりでした。
この時活躍されたDMATの皆さん、お疲れ様でした。そしてありがとうございます。