「トランプ関税について」Vol.2 ~ どうなる日本 

ある団体で日銀の方の講演があったので、まとめてみました。タイトルは「最近の金融経済情勢」となっていましたが、トランプ関税で日本がどういう影響を受けるかというお話でした。

1.トランプ関税とは何?

国家安全保障と輸入超過をなくすことを目的とした施策であるが、国別では、「メキシコ」「カナダ」「中国」が標的になっている。

分野別では、特にアメリカが重要と考えている分野の「安全保障関連」「銅」「自動車」「半導体」といった分野です。

関税が上がるとどうなるのか。

不確実性が高くなり、アメリカのみならず、個人消費、設備投資は落ちる。

➡採算が悪化して企業収益は下がる。 ➡その結果、世界経済が落ち込む。

という悪循環が起こる。

一方、関税を上げられると企業はどうするか。

・競争力のある企業は関税分をフルに価格に転嫁する・・・半導体機械メーカーなど

・競合が多い企業は関税分をフルに自己負担する・・・自動車メーカーなど

・競争力が保てる範囲内で価格転嫁する・・・大半の企業

ということが考えられ、そうした行動が今後起こってくる。

2.世界経済は減速する?

IMFの予想だと今年は3.3%成長予想が2.8%成長に下方修正されている。

日本もご多分に漏れず、1.1%成長が0.6%成長と修正されている。

しかし、神奈川県を見ると輸出は落ちていない。神奈川県経済は強い。

3.今後日本が取るべき施策は?

・価格転嫁をいつするのか。

 9月頃値上げをするかどうかが一つのポイント。

・販売地域の拡大をする。

NIESやASEANへの売り込みを強化する。

中国などは既にこの状況を見越して、販路を広げる戦略をとっている。

例えば、シンガポールではこれまで日本車がシェアNo.1 だったのが、中国車がNo.1となっている。

4.今後は?

一般的に考えると今年5月にこのコラムで書いたように、過去の歴史から考えるとトランプ関税はアメリカにとってもマイナスというのが一般的だと思っていました。しかし、ここからは私見ですが、トランプ大統領を影で支えているブレーンの話が時々活字になり、それを読むと、彼らは「新しい経済をつくるのだ」と思ってこの施策を推進しているのがよく分かります。アメリカ経済の強みを最大限に活かして、アメリカに富を集中させていくつもりなのです。例えば、日本だけで5,500億ドル(約80兆円)の投資をすることになっています。現在中国とは交渉中ですが、EU、韓国などはアメリカへの投資を約束しています。世界のお金がアメリカに集中し、アメリカがさらに裕福になる気がしてならないのです。弱くてついて行けない国々が出てしまうこと、二極化が進んでしまうことがすごく心配です。どこまでできるか分かりませんが、日本はそういう国々を支えて新しい経済圏を作ることが命題となっているような気がしてなりません。

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