奇跡の村「長野県下條村」①

奇跡の村「長野県下條村」①

日本一の健全財政

俳優の峰竜太さんから、峰さんの出身地である長野県下伊那郡下條村は日本で一番財政が健全な自治体だと伺いました。
気になったので調べましたところ、下條村は全国の自治体関係者から「奇跡の村」と呼ばれているそうです。テレビなどでも紹介され、全国各地から数多くの視察団が訪れています。3年間で250以上の視察団が来たということですから凄いですね。

図:下條村マップ 出典:下條村観光協会HPより

その理由は日本一の健全財政と高い出生率にあります。
総務省によると2015年度決算での借金返済の重さを示す実質公債費比率は、下條村がマイナス6.6%で、2年連続して全国の市区町村の中で最も低かったそうです。
実質公債費比率とは自治体の収入に対する負債返済の割合を示すものです。18%以上だと、新たな借金をするために国や都道府県の許可が必要となり、25%以上だと借金を制限されます。
この数字が低ければ低いほど財政は健全だと言えるわけです。実質公債費比率の全国平均(2013年度)は、都道府県:13.5%、政令指定都市:11.2%、市区7.6%。町村:9.9%で、マイナス6.6%の下條村はいかに財政が健全であるかがわかります。

図:団体種類別実質公債費比率の状況

出典:総務省「平成25年度決算に基づく健全化 判断比率等の状況」より

因みに神奈川県(2014年度)の実質公債費比率は11.9%、横浜市(2014年度)は16.9%、財政が事実上破綻している夕張市(2014年度)は61.0%でした。神奈川県は全国平均以下ですが、横浜市は政令指定都市の中でも千葉市に次いで悪い数字が出ていました。

図:政令指定都市実質公債費比率の状況

出典:総務省HP 決算カードより

(↑画像をクリックすると拡大します)

ではなぜ下條村は財政を健全化できているのでしょうか。
大きく3つの理由が上げられています。

①職員の意識改革。
下條村の伊藤村長は全職員を民間企業(直接顧客と接する物品販売の店頭)に研修に出しました。そうすることで「やる気」「コスト意識」「スピード感」「効率化」の意識が生まれ、いわゆる「お役所仕事」といったものが消え、職員1人1人の効率がよくなり人員削減にもつながったそうです。20年前には60人以上もいた職員は、現在では30数人。同規模の村役場の職員数と比較するとほぼ半数です。
そして欠員が生じた場合には、民間から人材を採用しているそうです。

②資材支給事業
聞きなれない言葉ですが、道路や水路の小規模工事を村民が自ら行い、村は資材のみを提供する事業です。これまでに整備補修した村道や水路などはなんと1,600ヶ所以上!1回あたりの工事費は、通常の5分の1である20万円ほどで済んでいるそうです。こういった事業を行うには、村民の中に村のためにという気持ちや村長に対する信頼がなければできないことだと思います。

③国の補助金を安易に使わない
国はある時期、全国に公共下水道を普及させるために、事業費の半分を補助金、残りの半分を起債で賄えるようにして推進しました。多くの自治体はこれを利用し、下水道事業を進めたわけです。しかし下條村では補助金をもらっても半分は村の借金となり、その元利償還金とランニングコストが将来の財政を揺るがすと判断しました。そこで国が推進する管を張り巡らす公共下水道ではなく、村全体を合併浄化槽1本でいくことにしたそうです。

このように国の補助金が入るという事業を安易に採用せずに、身の丈に合った内容を選択する、これも健全財政に大きく貢献しているようです。
「国から補助金をもらって行う事業は事細かな制約があり、自由に進めることができない。補助金のメリットとデメリットをはかりにかけたらもらわないほうがよい。」と伊藤村長は仰っています。

過去の莫大な借金を背負った財政から、今では村には60億円以上の基金があるそうです。
こんな行政が日本にもあるのかと感心しました。
基本は「独立自尊」自分たちで出来ることは自分たちでやろう!なんでしょうね。
下條村では多くのムダを省いたことにより捻出したお金を少子化対策に活用しています。子供や若い人が増えることは村全体を元気にします。ではどのような対策を行っているのか?
次回は下條村の少子化対策についてご紹介します。