デジタル広告を考える

デジタル広告を考える

デジタル広告費シェア1位

電通イージス・ネットワークによりますと2018年に世界の総広告費の中でデジタル広告費の占める割合が、テレビ広告費を上回り、シェア第1位になりました。
その後もシェアは伸び続け、デジタル広告費の割合は2019年:43.0%、2020年:45.7%、2021年:48.3%と予測されております。2022年には総広告費の半分以上がデジタル広告費となる勢いです。また今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響で人々の行動様式が変わり、さらに伸びるという予想も出ています。

図:世界の広告費に対する媒体別シェア

出典:電通「世界の広告費成長率予測より作成

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デジタル広告の信頼性

2019年の日本の広告費は全体で6兆9,371億円、そのうちデジタル広告費は2兆1,048億円で、シェアは30.3%、テレビ広告費の1.13倍です。
広告シェアで3割を占める日本のデジタル広告ですが、信頼性はどうでしょうか?
野村総研が信頼度について調査していますのでご紹介します。
最初にデシタル広告とテレビ広告の信頼度の比較です。テレビ広告が信頼できると答えた人は56%、デジタル広告が信頼できると答えた人は13%でした。どちらも信頼できないという人は31%です。デジタル広告の信頼度はかなり低い状況です。

図:デジタル広告とテレビ広告の信頼度

出典:野村総合研究所 2018年9-10月シングルソースデータより作成

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生活者はデジタル広告に対してどう感じているかの問いには(複数回答)
「誤ってクリックするようなタイミングや位置に表示される」1331人
「同じ広告が何度も表示される」1155人
「画面が占領される」1053人
「自分に興味のない広告が表示される」961人
「スクロールしてもずっと表示される」953人
などででした。

図:デジタル広告で気になる課題

出典:野村総合研究所 2018年9-10月シングルソースデータより作成

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野村総研は下記のように提言しています。
『生活者をだますような広告は、掲載している企業の信頼感を損なう可能性も高く、広告することが逆効果に繋がる恐れもあります。拡大を続けるデジタル広告ですが、今後の健全な発展のためにも、改めて業界全体でルール化することが必要な時期まで来ているのではないでしょうか。』

Yahoo! JAPANでは広告主や広告会社、広告配信パートナーが、Yahoo! JAPANのサービスおよび広告を安心して利用できるよう広告サービス品質向上のための審査実績をまとめた「広告サービス品質に関する透明性レポート」を公開しました。
その中で2019年度には約2億3千万件の広告素材を、Yahoo! JAPANが定めた基準に抵触する素材として非承認にしたと発表しました。
ユーザーに誤解や不快感を与える広告はYahoo! JAPANを利用するユーザーの不利益になるとして非承認にしたということです。
例として、根拠のない№1表現、肌の露出が多い画像、医療や化粧品・健康食品による虚偽・誇大広告などが挙げられていました。
いずれにしても膨大な数の広告素材がYahoo! JAPANから非承認されたことになります。
詳しくは下記をご覧ください。

https://marketing.yahoo.co.jp/strength/quality/adqualityreport/

デジタル広告は信頼性をより深く追求していく必要があり、業界全体でのルール化も必要だと思います。ただ、具体的にどうしていくのかというと難しい面が多々あります。今後、関係諸団体が協力し、全てのデジタル広告を安心して見られるようにしていかなければならないと思います。